orl.wakayama-med 2.0

和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Enterotypes of the human gut microbiome

医学:ヒト腸内マイクロバイオームのエンテロタイプ

Nature
Volume:
473,
Pages:
174–180
Date published:
(12 May 2011)
DOI:

Abstract

ヒト腸内マイクロバイオームの種組成および機能組成についての解明は急速に進んでいるが、これらはいまだに非常に限られた数のコホートに基づくもので、世界全体での差異についてはほとんど知られていない。今回我々は、新たに欧州4か国の22人の便からの塩基配列が解読されたメタゲノムと、これまでに発表されているデータ群とを合わせて解析し、国特異性も大陸特異性も見られない明確な3群のクラスター(これ以降、エンテロタイプと呼ぶ)を同定した。また、発表されている2つのより大きなコホートでもこれらのエンテロタイプが確認されたことから、腸内微生物叢の変動が通常は階層化されていて、連続していないことが示された。さらにこのことから、うまくバランスのとれた宿主–微生物共生状態は限られた数だけ存在し、それらが食物や薬剤摂取に対してそれぞれ異なる応答をしている可能性が示唆される。これらのエンテロタイプを生じさせているのは、主として微生物叢を構成する菌種の組成だが、分子レベルの機能として非常に多いものが必ずしも多い菌種由来ではない。このことは、微生物叢を理解するには機能分析が重要であることを明確に示している。観察されたエンテロタイプは、ボディー・マス・インデックス(BMI)、年齢、性別といった宿主個人の特性では説明できないが、このような宿主特性それぞれについてのデータ駆動型解析から、マーカー遺伝子や機能モジュールを同定できる。例えば、12個の遺伝子が年齢と、3個の機能モジュールがBMIとそれぞれ強く関連することにより、微生物マーカーが診断に使える可能性が示唆される。

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