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orl.wakayama-med 2.0

和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

新型インフルエンザウイルス感染症の重症化?

5月6月の第一波もすぎ、静観していたのですが、少し動きが出てきたような気がします。

9月23日21時の速報で、朝日、毎日の2社が、日本小児科学会の緊急フォーラムの協議内容を報道しました。
http://www.jpeds.or.jp/influenza-j.html

先日のNHKスペシャルでも、沖縄のno risk24歳女性の死亡例(ウイルス性肺炎によるARDSが死因)を取り上げていました。
医療界だけでなく、一般でも新型インフルエンザウイルス感染症の重症度の再認識が進んでいるのかもしれません。

http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/09idsc14.html

病原体の振る舞いが季節性とは異なるという認識が必要です。

厚生労働省で公開されているカルテ
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/09/dl/info0918-1d.pdf

以下、各学会のコメント、抜粋;

小児科学会

インフルエンザ脳症について

「今まで国内に重症例が殆ど報告されなかったことから、国内社会においては「新型インフルエンザは軽症である」との認識が拡がっているが、今回、新型インフルエンザに伴う脳症重症例が発生したこと。
夏季であるにもかかわらず、国内や米国などの北半球において、小児の脳症例の報告が続いていること。
今後、秋・冬の感染拡大の中、幼児における新型インフルエンザの流行は避けられないものと考えられ、この年齢層を中心とした小児のインフルエンザ脳症の発症数の増加が危惧されること。
以下の症状は、インフルエンザ脳症の早期の症状として、保護者等一般の方が注意すべき点であり、これらの症状がみられたら医療機関(小児科であることが望ましい)を受診すること:
インフルエンザ様症状(発熱、気道症状)に加え
A.「呼びかけに答えない」など意識レベルの低下がみられる
B.痙攣重積および痙攣後の意識障害が持続する
C.意味不明の言動がみられる
強い解熱剤(例:ボルタレン、ポンタールおよびこれらと同様の成分の入っているもの)はインフルエンザ脳症の予後を悪化させるので、必ず解熱剤はかかりつけの医師に相談して用いること。」

小児インフルエンザ重症肺炎・ARDS の診療戦略

「呼吸障害は、理学所見としての多呼吸・陥没呼吸・鼻翼呼吸・チアノーゼに代表される。多呼吸は発熱に誘発されることもあるので、まずはアセトアミノフェンや体表冷却により体温をコントロールをした後、呼吸状態を観察する。さらに経皮酸素飽和度モニター(SpO2 モニター)を使用して厳重に観察する。
インフルエンザあるいはその疑いと診断し、上記の呼吸障害がある場合は、胸部X線写真を撮影する。胸部X 線写真で肺野に浸潤影が認められればインフルエンザ肺炎となる。既に両側肺野に浸潤影が拡がっていれば急性肺損傷(AcuteLung Injury; ALI)、あるいは急性呼吸窮迫症候群(AcuteRespiratory DistressSyndrome; ARDS)を疑う。
ALI/ARDS の診断基準は、
1)急性発症の呼吸障害
2)高度な酸素化障害
PaO2/FIO2 ≦300 torr ALI
≦200 torr ARDS
3)胸部X 線写真上 両側びまん性陰影
4)左心不全を除外
である1)。
この時点で、インフルエンザによる呼吸障害があり胸部X線上肺野に陰影があるので、インフルエンザによる重症肺炎と診断する。あるいは上記ALI/ARDS診断基準に合致すればインフルエンザによるALI/ARDS と診断する。」

日本感染症学会

http://www.kansensho.or.jp/news/090914soiv_teigen2.html

「本年8月以降、わが国でも各種の基礎疾患を有する感染例に死亡が見られ始め、若年層にも被害が出始めていますが、従来の季節性インフルエンザは高齢者を中心にして0.1%前後の致死率であるのに対し、今回のS-OIVは本来健康な若年者が中心でありながらWHOの発表5)では未だに1%近い致死率を示しています。メキシコや米国、最近では南米などの被害が大きく、1%をはるかに超える致死率が報告されている国もあります。このことからも、S-OIVは決して軽症とは言えません。しかも、前回の緊急提言でも述べたように本年の秋以降には大規模な発生が起こり、1〜2年で全国民の50%以上が感染することも予想されているのです。「弱毒」と侮ることなく、万全の対処を準備しなければなりません。」