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和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Influenza A(H1N1)国内outbreak

「同省は関西地方で人から人にうつる集団感染が始まったとの見方を強め」

マスコミ発表では大阪府茨木市の高校生8人で新型インフルエンザが同定、あと、80名が発熱しているという。それぞれに海外渡航歴はなく、地域的なoutbreakであるのは間違いない。
残念ながら国内侵入を許したということだ。近畿全般で注意するとともに、他地域にも感染が拡大する可能性があると考えるべきだ。
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/case-j-2009/090516case.html

厚生労働省からの医療者側への通達は、
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/091515-01a.pdf
以上のプロトコルで診断することとなっている。

m3.comよりの抜粋(一部改変);


【5月8日】米国疾病管理センター(CDC)と州・地域の公衆衛生当局の研究者らが、A型ブタインフルエンザ(H1N1)ウイルスの現在の流行における米国の最初の症例642例の詳しい臨床情報を発表した。

『New England Journal of Medicine (NEJM)』5月7日号オンライン版に掲載されたその結果によれば、発熱、咳、のどの痛みといった一般的なインフルエンザの徴候の他に、下痢が4分の1の患者に、嘔吐も4分の1の患者に現われた。

したがって、医師と患者は季節性インフルエンザの通常の症候と非定形的な消化管徴候の両方について気をつける必要があると、筆頭著者であるCDC疫学調査局(Epidemic Intelligence Service)のFatima S. Dawood, MDが記者会見で語った。

遺伝子分析によって、現在の感染の原因ウイルスは北米ブタインフルエンザの系統ではなくユーラシア大陸に起源を持つH1型ウイルスであることが分かっている。

「現在の状況は『1918年の再来』ではなく、『1918年の延長』であり、1918年に汎流行したインフルエンザウイルスの残党に我々は今でも感染し続けているのだ」とBelshe博士は記している、

流行の詳細

現在の流行の最初の数百症例をまとめたDawood博士らによれば、季節性インフルエンザの流行による死亡(年間およそ36,000人)の大部分が、一次性ウイルス性肺炎や二次性細菌性肺炎(特に連鎖球菌性とブドウ球菌性肺炎)といった続発性合併症による死亡と、すでに存在していた疾患の悪化による死亡で占められている。

「これらと同様の合併症がS-OIV(ブタ由来インフルエンザウイルス)感染で起こりうる」と博士らは記している。

このウイルスに対する感受性がもっとも強いのは十代までの小児であり、高齢成人は感染しにくいらしく、患者の40%が10歳から18歳までの年齢であり、51歳以上の患者は5%しかいないことが分かった。症状としては、94%に発熱、92%に咳、66%にのどの痛み、25%に下痢、25%に嘔吐があった。

「1976年のブタインフルエンザワクチンの血清学研究で示唆されているように、高齢者ではS-OIV感染に対する抗体をすでに持っていることである程度の交差免疫を備えている可能性も考えられる」と著者らは記している。